額装実例集

 大胆かつ繊細な墨使いで描かれたねぶた絵の額装です。鮮やかな着物の色使いと、強弱を付けた墨の黒のコントラストがお見事。160cm程度と、ほぼ人物大の大迫力の作品です。竹を模したフレームで、雰囲気のある仕上がりになりました。
　ねぶた絵は本紙や絵の具が特殊で、張り込み作業に難儀します。裏打ちや張り込みといった作業には、「作品を水で湿らせる」ことが不可欠です。ねぶた絵の顔料は水を弾いたり、逆に水に流れてしまう可能性があります。また蝋が染みこんだ紙は、張り込み作業でどういった変化が生じるか予想がつかない部分があります。
　表具師は長年の経験から最適な作業方法を模索し、一発勝負で作品と向かい合うことが常ですが、それにしてもねぶた絵は予測の付かない不確定要素が多すぎます。作品の状態によっては張り込みを諦めて、表面カバーと裏板で挟むだけにすることが最善かもしれません。仕上がりに皺やたるみが見られるかもしれませんが、絵の具が流れて作品が台無しにする訳にはいきません。