長い時間を掛けて仕上げた刺繍作品は、とても良いインテリアになります。刺繍を引き立てる額縁の選び方と額装方法を解説いたします。
ヨーロッパ刺繍、文化刺繍、クロスステッチ、刺し子・・
一口に刺繍と言ってもたくさんの種類がありますが、基本的に以下で紹介する額縁を選んでOKです。
非常に立体的な刺繍などは例外になりますので、別途お問い合わせください。
一般額は、薄めの品物全般に使える額縁です。
フレームデザインやカラー、サイズ展開が豊富なので、お手元の刺繍にぴったりの額縁が見つかることでしょう。
主に紙の額装に使われる一般額ですが、厚みのあるの品物にも対応可能です。厚手の刺繍でも問題ありません。様々な額縁の中で随一を誇るバリエーションに加え、後述するマットとのコーディネートも合わせれば、その可能性は無限大です。
刺繍の上に窓抜きしたマットを被せて、刺繍の周りの余分な布地を隠す形になります。この[マットの窓抜き]はお客様のご指示に従ってカットします。まずはこの窓抜きサイズを決めましょう。
窓抜きよりも大きな部分の布地は、そのままで問題ありません。逆にある程度マットに被さる部分が無いと、セットすることが難しくなってしまいます。大きすぎる布地の場合も、余裕を持たせてカットしましょう。
窓抜きサイズ(刺繍の見せる部分の寸法)に対して、マット幅を加味した一回り大きな額縁を用意しましょう。
具体的には100~150ミリ大きな額縁が適正です。例えば作品の絵柄部分が200×300ミリなら、適正な額縁は300×400程度の大きさになります。
額縁サイズを考えるとき、刺繍の布全体の大きさは関係ありません。あくまでも窓抜きサイズ(刺繍の見せる部分の寸法)が基準になります。
一般額には横長や正方形など、様々なバリエーションがあります。一般額の一覧とサイズ表はこちらからご覧ください。規格サイズから適正なサイズを選び出す、[額縁の適正サイズ検索]が便利!
規格サイズに適正な大きさがなければ、お好みの寸法で額縁をお作りすることも可能です。オーダー製作のページから寸法入力をお試しください。オーダー製作の額縁も、web上で価格が表示され、そのままお買い物が可能です。
素っ気ないご案内になってしまいますが、額縁はお好みでお選びください。刺繍はそれ自体が目立ちやすいため、「額縁が派手すぎて中身が目立たない」といったことが起こりません。気に入ったものを選びましょう。
ちなみに刺繍のカタログなどに載っている額装例を、そのまま真似する必要はありません。これは額縁のデザイン、マットの幅など全てに当てはまります。個人的な印象ですが、カタログ等で紹介されている額装例が良い額装だとは限らないようです。
額縁選びの基本は、[お部屋に合わせる]のではなく、[飾る品物に合わせて選ぶ]ことです。
刺繍に暖色が多く使われているなら、茶色やゴールドのフレームが候補になります。逆に寒色系のスカーフなら、ホワイトやシルバーのフレームを候補とすると良いでしょう。
ちなみに、どんな品物にも合ってしまう万能の額縁が存在します。それは茶色とゴールドの額縁。どうしても決められないなら、これらの額縁を選ぶのも手です。
ダブルマットとは、マットを2枚重ねて下段の挿し色を楽しむ方法。特に背景が白い刺繍は、挿し色のラインが入ることで境界がはっきりと際立ちます。ダブルマットでメリハリの利いた額装に仕上げましょう。
マットが重なる分、表面カバーと刺繍の間の空間が広くなるのもポイント。立体感のある刺繍でも、表面カバーに触れにくくなります。見栄えのためにも刺繍の風合いを活かすためにも、マットはダブルマットを選択しましょう。
当店は70色以上のマットをご用意しております。
ダブルマットのコーディネートの基本は、「上段マットを控えめに、下段マットを派手目の色に」です。
上段マットは白、ベージュ、グレーなどを選びましょう。広く目に入る部分を控えめの色にすることで、コーディネートがしやすく、かつ上品に仕上がります。具体的に挙げると、ワーグマン、コルク、ベージュ、淡ピンク、もみ紙白、スエード象牙などが候補になります。
下段マットは濃い目の色合いを選びます。ブルー、深緑、レッド、紫などが候補です。
額装に一体感を出すためには、刺繍の中に使われている色を選択するのがポイント。ただし作品のメインとなる色ではなく、作品の1~2割を占める色にしましょう。メインの色を避けることでメリハリを出しつつ、作品とのコーディネートも図れます。
マット全色の一覧はこちらからご覧ください。
刺繍は製作過程で、程度の差はあれ歪みが生じます。刺繍の歪みや皺を正しつつ、額縁に飾りましょう。刺繍を伸ばして固定する方法は様々ですが、手軽にできる方法をご紹介いたします。
窓抜きサイズの測り方でも触れましたが、洗濯やアイロン掛けは済んでいますでしょうか。きれいに見える刺繍も、額縁に飾ると汚れが目立つかもしれません。チャコペンの跡などが残っていないか確認しましょう。
刺繍の歪みを正すため、厚紙や板などの土台に刺繍を固定します。背景土台は額縁内寸法と同じ大きさにしておくと、額縁にすっぽり入れるだけなので簡単です。
こちらでは、窓抜き無しのマットを土台としました。マットは中性域に調整されていて、劣化の原因となる成分を含みません。強度もあるので、刺繍の土台としては最適です。刺繍の布地が土台(=額縁内寸法)よりも大きかったので、テープを貼る糊代を残してカットしました。
刺繍を四方に引っ張りながら、土台となるマット紙にテープで留めます。窓抜きされたマットを被せて位置を確認しながら、マットが被さって隠れる位置でテープを貼ります。布用の両面テープを併用したり、場合によっては両面テープだけで固定しても良いでしょう。
セロテープなど、経年劣化が激しい素材を使うのは避けたいところです。品物に悪影響を及ぼさない、額装用のテープなどをご利用ください。
土台への固定が終わったら、表面カバー→マット→土台付きの刺繍→裏板の順番で額縁に納めます。額縁内部の深さが余るようなら、額縁に付属するダンボールシートなどを裏板の前に加えてください。
ちなみに、ダブルマット・刺繍・土台マットの厚さを足すと、およそ5ミリ程度の厚さになります。一般額の選択時には、[内部有効深さ]が5ミリ以上ある額縁をお選びください。
マット窓抜きサイズ(=刺繍を見せる部分)をお決めになった上で、リンク先よりサイズ入力をお試しください。お好みの額縁をお求めいただくと、続いてマットのご注文ページに遷移します。額縁とマットをそれぞれお求めください。
当店は額装技術日本一を自負する額縁専門店です。大切な刺繍を当店に預けてみませんか。
最高の額縁と最高の技術で、お客様の刺繍を最高の額装品に仕上げます。
刺繍は裏打ちしてから額装するのがベストです。
小さな刺繍、しわやたるみの少ない刺繍は、両面テープでの固定でも比較的きれいに飾れますが、それでも生地の歪みは目に付きます。
裏打ちを行えば、生地は完全に伸びて補強され、額縁に飾ってからも歪みが再発することはありません。お客様の手では難しい裏打ち作業ですが、当店なら専門の職人がきっちり行います。裏打ちが効果的かどうかは作品によりますが、作品の状態を判断し、最善の額装方法をご提案します。
額装実例集では、当店が手がけた2000件にも迫る額装例を公開しております。
額縁選びの参考に、是非一度ご覧ください。