額装実例集

 カシミヤ70%とシルク30%、非常に薄手のショール。向こうが透けるほどの繊細な素材感ながら、1.3×1.9mという超特大の品物です。
　カシミア混の布地は、何気に生地としての強度はそれなりにあるように感じますが、こちらは透けるほどの薄さに加え、2mに近い大きさもあったので、いくら張り込みを行っても平坦に仕上がるのか未知数でした。何とか満足のいく仕上がりになりましたが、これだけの大きさの布地だと、全面を張りこんで固定することが出来ません。布地の周囲を裏板パネルに折り返し、太鼓のような要領で布地を周囲に引っ張って留めています。
　布地の周囲以外は貼り付けなど行われていない、つまりは浮いた状態になっているので、温度や湿度の影響を受けて、布地全体が収縮を繰り返します。季節や飾る場所によっては、「昼と夜で布地の見た目が異なる」といったことも起こるかもしれません。品物が大きければ大きいほど、収縮の影響が大きくなることもあり、ある程度のたるみが生じるのは避けられません。
　またカシミアは伸縮性が非常に高いことも特長の一つです。こちらのショールは未使用のままで額装されることになりましたが、使用済みのカシミアは、使用時の状況によって布地に大きな波打ちが形付けられていることがあります。伸縮性の高さから、強い力にも対応できてしまうのがカシミア。張り込みでの矯正にも限界があるので、布地に強めの癖が形作られている場合、平坦に仕上げることが出来ない場合もあります。