額縁がお手元に届いたら、どのように品物をセットすればよいのでしょうか。額縁の構造でセット方法が変わります。
まずは額縁の種類をお選びください。
額縁にマットを合わせるのは、額縁の最も基本的な使い方です。
マット裏面に飾る品物をテープ留めするのが基本です。まずは額縁の裏板を外して、額装マットを取り出します。品物にマットを乗せて位置を決めたら、マットと品物をひっくり返して、上部2箇所ほどテープで留めてください。
心許ない気がしますが紙は伸び縮みします。収縮の逃げ道を残すため、テープの貼り過ぎは避けましょう。テープは額装専用品がベスト。セロテープなどは経年で悪影響が生じます。
額縁に入れる品物が大きい場合、マットと合わせた品物をひっくり返すのに難儀します。窓抜き位置を合わせても、裏返すときに位置がずれてしまうのです。
こんなときは予めテープを貼っておき、裏返す工程を省きましょう。品物にテープを貼っておけば、表を向けたままでテープを貼り付けることが可能です。手探りでテープを留めた後、裏返して念入りにテープを押さえ直してください。
品物にテープを付けたくない場合、四隅にポケットを作って固定します。 直接テープを貼るよりも固定が弱く、品物が動いてしまう可能性も高くなりますが、品物に粘着物が付きません。
[ポケットを作る専用テープ]も販売していますが、適当な中性の紙とテープで自作することも可能です。茶封筒など中性の紙を三角にカットし、品物とテープの間に挟んでください。
額縁の内部深さを活かして、ある程度厚みのある品物を飾ることも可能です。四辺をしっかりとテープで貼り付けましょう。
飾る品物が上下左右を支えられた形にできるとベストです。厚み調整材をくり貫いて、飾る品物がはめ込まれた状態にしましょう。特に重量物をテープだけで固定するのはNG。品物が乗っても重量を預けられる、物理的な支えがある構造にしましょう。 参考額装例(#2966)
窓抜き無しのマットを用意し、飾る品物をマットに乗せて使うことも可能です。
・品物と表面カバーが密着して保存性に劣る
・額装に奥行きが生まれない
というデメリットがありますが、飾る品物の端まで全て見せることが可能。パピルスなど四辺の質感まで見せたい品物に有効です。
表面カバーとマットで挟むだけでは固定が弱いため、両面テープ等を使って補助してください。
マットを交換する場合はご注意ください。額装専用のテープは経年で粘着力が増していくものも多く、基本的に剥がすことは困難です。無理に剥がそうとすると品物にダメージが及びかねないので、テープ部分をカットするのがおすすめです。詳しくは動画にてご確認ください。
気分を変える意味でマットを交換してみるのもアリです。シングルマットをダブルマットにしてみたり、額装の雰囲気が大きく変わります。
マット無しの額縁の場合、額縁の裏面から品物をすっぽり入れるだけです。額縁のサイズが適正なら、特に固定の必要もありません。
額縁の内寸法よりも品物が若干小さい場合、額縁の中で動かないようにテープ留めすると良いでしょう。品物の裏面から、表面カバーに向けて貼り付けるのが簡単です。
もしも額縁の内寸法よりも品物の方が大きい場合、品物をカットして大きさを揃えましょう。額縁に飾る品物をカットするのは抵抗があると思いますが、折りたたむなどの処置では仕上がりに悪影響が出ます。なるべく、カットしてきれいに額縁に納めましょう。
大きな品物の場合、すっぽり入れただけでは皺やたるみが生じます。セットした瞬間はきれいでも、紙は温度や湿度で収縮を繰り返すので「朝はピンとしていて夕方は波打って見える」というようなことが起こるかもしれません。
大きな品物を額装する場合は、裏打ちや貼り込みもご検討ください。また額縁サイズに余裕が無い場合、伸びた紙がたるみとなって現れます。全体サイズによって上下しますが、額縁サイズに1-3ミリのゆとりがあることが、美しく額装するコツです。
油絵額・日本画額は厚みのあるキャンバスやパネルが入る額縁です。
油絵額や日本画額は、絵画規格サイズで作られています。作品サイズに合わせて額縁をお求めいただければ、特に固定の必要もなくすっぽりと作品が額縁に納まります。
ちなみに紙状の品物に油絵額は使えませんが、紙をパネルに貼る、額縁のマット材を取り除くなどいくつか方法があります。詳しくはこちらをご覧ください。
油絵額や日本画額は、サイズを間違うと全く使えません。構造上、近しいサイズを流用することは不可能なので、サイズ違いの作品には特注の額縁を用意しましょう。
「適正なサイズのはずなのに入らない!」
そんな時はキャンバス側面の釘が出っ張っているのかも知れません。釘を打ち付けて出っ張りをなくしてみましょう。
厚さのあるキャンバスなどを飾る油絵額ですが、薄めの品物も飾れます。
条件は作品自体で平面性を保てること。作品の裏側に厚みを補う緩衝材を入れましょう。作品が背面に動かなければ良いので、必ずしも裏側の全面に詰める必要はありません。できれば新聞紙などの再生紙は避け、プチプチや丸めた中性紙をご用意ください。
ぴらぴらの紙の額装には工夫が必要ですが、板状の作品なら詰め物だけで問題ありません。
作品がキャンバスではなくパネルの場合、はめ込んだときにカタカタと動くことがあります。これは収納部分に余裕を持たせて額縁が製作されているため。作品が動いてしまうようでしたら、折り畳んだ紙などを周囲に挟みましょう。
作品の方が大きいのは大問題ですが、作品が数ミリ小さい分にはこういった詰め物で簡単に対応できます。
作品の周囲に余白を取って飾ることを「浮かし額装」と言います。作品裏側の木枠部分を、ネジ止めして飾ってください。
浮かし額装用の油絵額縁の他、作品よりもタテ・ヨコ・深さに余裕を持たせた立体額を利用してもOKです。必ずしもタテヨコの余白が均等になる必要は無いので、あえて正方形の額縁などを利用しても良いでしょう。
手ぬぐいは裏打ちしてから額縁に飾りましょう。アイロンだけではたるみが生じますし、折り畳んでの寸法調整もお勧めいたしません。裏打ちを行ってビシッと伸びた手ぬぐいの見栄えは格別です。
手ぬぐい額は340×890、もしくは350×900が基本寸法です。手ぬぐいのほとんどに適合するサイズですが、標準サイズよりも大きい手ぬぐいの場合は特注サイズの額縁をお求めください。
立体額に飾れる品物は多種多様。額装方法も臨機応変に変えないといけません。
立体額の使い方は、自由自在!品物の形、重さに合った固定方法から、額装を彩るちょっとした工夫までご紹介します。お客様の発想をもとに、自由な額装をお楽しみください。少しの工夫で見違えるような仕上がりになります。
立体額の額装方法はこちらのページで詳しく紹介しています。
額縁のタカハシは、額装技術日本一を自負する額縁専門店。額縁に飾る品物をお預かりし、当社で額装作業を行うことも可能です。額装工賃と品物をお送りいただく送料が必要になりますが、専門スタッフが品物に合ったベストの方法で額装いたします。
通常の額縁に納まらないような、特殊な品物もお任せください。額縁の製造~額装まで、自社工場で一貫対応いたします。額装依頼について、詳しくはこちらをご覧ください。