南州翁こと西郷隆盛による遺訓「敬天愛人」の書を額装しました。この言葉は、天を敬い人を愛するという思想を表し、西郷の人格と信念を象徴する名句として広く知られています。歴史的価値の高い書作品を、保存と鑑賞の両面から支える構成で仕立てました。
額装にあたっては、表装済みの作品の本紙のみを丁寧に剥がし、洗濯してから再度裏打ち・再表装しています。掛け軸などの作品は、こういった仕立て直しが前提となっています。古い作品でも驚くほどきれいになることが多いので、
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作品周囲の淡い金色のアクセントは「覆輪」です。背景の紺色の布地と対比され、墨の力強さと布地の深みが際立ち、コントラストのはっきりした仕上がりとなっています。覆輪は2ミリ程度の太さにするのが一般的ですが、今回の額装では天地を1cm弱、左右を2cm程と広めに取りました。
額縁には、昔ながらの隅丸の欄間額を採用しました。ウルシ塗りを模した艶やかで深い色合いのフレームが、書の風格と調和し、空間に静かな品格を添えています。隅丸の柔らかな曲線が、力強い筆致と絶妙なバランスを生み出しています。
このような歴史的書作品は、額縁に飾ることでその思想と美しさが一層引き立ちます。文化的価値を守りながら、空間に深みと静けさをもたらすインテリアとしてもおすすめです。大切な言葉を永く美しく残す手段として、額装をご検討ください。