穴山勝堂は1890年、山梨県生まれ。洋画から日本画に転身して花開いた異色の経歴の持ち主です。各地の学校で図画教師をしながら創作活動を行い、1931年の第12回帝展に初出品した「夕映えの松」が特選に輝くなど、1971年に81歳でこの世を去るまで、精力的な活動を続けました。現在は東京国立近代美術館や山梨県立美術館、大分県立美術館などに作品が収蔵され、高く評価されています。
裏打ちなどの手が加わっていない、「まくり」の状態の作品をお預かりしました。こちらの作品本紙は絹本でしたので、背景が透けて見えるような薄い布地の状態です。絹本を飾るには裏打ち作業が必須ですが、古い作品ですので汚れが付着しています。そのまま裏打ち作業を行うと、将来的に染みなどに悩まされる可能性があります。
作品をお湯洗いした上で、湿式裏打ちを経ての額装となりました。 作品の状態によっては、お湯洗いに加えて染み抜きや破れの補修などを行うこともあります。本紙が破れる・溶ける、色が飛ぶなど、様々な危険と隣り合わせのこういった作業には、表具師としての経験だけが頼りです。お問い合わせの段階では、作品の画像を見てお見積りをさせていただきますが、作品の実物を見て、作業内容の変更をご提案する場合もございます。お客様のご希望を踏まえつつ、額装のアドバイスをさせていただきますので、お気軽にお問い合わせください。