人間国宝・富本憲吉による「花字中皿」五客を額装しました。富本憲吉は近代陶芸の礎を築いた作家であり、色絵や文様に独自の美意識を込めた作品を多く残しています。
額装にはボックス仕様に加工した「
D596-06」を使用し、ボックス内の布には「
29-103紬風紅藤」を選びました。作品の配色に沿った色選びで、フレームの塗装の不思議な質感と、ざっくりとした紬風の布が、お皿の滑らかな美しさを引き立てています。お品物の持つ繊細な色彩と余白の表現をゆっくりと鑑賞できる額装に仕上がりました。
今回は、
皿ホルダーで固定する方法をとりませんでした。5枚すべてをホルダーで支えるとなると、複数の爪部分が作品の鑑賞の妨げになるためです。設置は、専用ベースを5箇所分作成し、高台をはめ込み、皿の縁をアクリル面に直接当てて支える方法を採用しました。安全面に配慮して表面のアクリルを二重にし、たわみを抑えてあります。
縁が平らで整っている軽量の皿のみに適した方法で、お皿の形状が適しているかどうかを慎重に見極めなくてはなりませんでしたが、作品のデザイン的な魅力がストレートに伝わる仕上がりになりました。複数のお皿が額の中に浮いているように見え、上質なインテリアとしての魅力が高まりました。
今回のようにお皿の額装作業をご依頼いただく場合、実店舗に直接お品物をお持ち込みください。当額装で使用しているような、シンプルな形状のお皿をアクリルで押さえる方法のほかにも、お皿の形状に適した金具や額装方法をご提案いたします。一部の金具については別売りをしていますが、末永く飾っていただけるよう、額装のプロにお任せいただくのが一番安心です。
配送上の破損リスクが高い品物は、お預かりすることができないため、弊社オンラインでの額装作業はお断りさせていただいております。一応、額縁と組み合わせて使う皿ホルダーは販売しておりますが、近隣の額縁店に直接持ち込むことをお奨めいたします。