長年、松本店にご来店いただいているお客様のご依頼で額装させていただきました。お預かりしたのは風景をテーマにしたマクラメ作品です。
マクラメは「結ぶ」というシンプルな動作に、さまざまな工夫を重ねて発展してきた工芸です。その表現は多彩で、タペストリーやすだれを透かし模様で仕上げたり、花や人物をカラフルな紐で整然と編み上げて織物のように仕立てたり、あるいは針金を組み合わせて草花を立体的に造形したり…。作り方や仕上げ方にも、それぞれの作家さんの個性が生まれます。
すべてに共通するのは、時間をかけて一本一本の紐を結び、編み、組んでいくという点です。日常的な動作である「結ぶ」ことに、人間が長年にわたり工夫を加え、洗練させてきたマクラメ。起源には諸説あるようですが、いずれも古く、歴史の深さと人間の創造性の豊かさを感じさせます。
今回お預かりした作品は、平面でありながら微妙に段差が付き、奥行きを持たせた造りになっていました。お花一つひとつのふっくらとした愛らしさと、全体のカラフルな色使いがとても魅力的です。
フレームは正面からの見た目は20mmと細いですが、額の中に深さを作りやすい「GT24」を選びました。お客様のご希望である、”すっきりとしたシンプルなマット額装”を、立体的な作品となじませるために、作品の周囲はトリプルマット「クリーム30042+
青緑10465+クリーム30042」を使い、奥行きを持たせてあります。
通常3枚マットを重ねるとかなり重厚な仕上がりになりますが、今回のマクラメの額装は、作品が負けてしまうことなく、はっきりとした色合いがますます魅力を増したように見えます。