入れ歯の額装例もありますが、こちらは金歯の額装です。入れ歯の額装に比べて、額縁の内部深さを控えめに設定しました。裏板に桟を付けて、深さを調整しています。奥まりすぎてしまっては、せっかくの品物が見難くなります。額縁に入りさえすれば良いと言う訳ではありません。
一つ一つの歯に合わせて作られた物ですから、その形は千差万別。固定方法にとても苦労しました。
立体物の固定は、ボンドや両面テープ、針金や紐で縛る、裏板を通してネジ止めするといった方法を採ります。金へのダメージを考えると、ボンドや両面テープ、ネジ止めといった手法は却下、針金や紐で縛るのがベストです。ところが金歯は非常に小さく、形によっては縛るポイントがありません。固定方法を模索した結果、額縁背面に歯の代わりとなる土台を付け、金歯を被せて留めました。
ちなみに入れ歯の額装に比べて、額縁が小さいにも関わらず価格が高くなっています。金額の原因はひとえに額装した金歯の多さ。一つ一つの固定に手間がかかり、額装工賃が上がったためです。