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信玄は諏訪大明神を深く信仰していたが、その象徴である諏訪法性の兜をかぶり、右手に鉄製の軍配を持つ姿は、江戸時代の武田信玄像の典型である。大きな眼とへの字に結ばれた口、髭が印象的である。法性の兜や白い髭が法衣の朱色とよく調和している。軍扇を高く掲げている構図もいい。
本シリーズは武者絵の中でも特に異色のものである。美人画や役者絵の大首絵は知られているが、武者絵の大首絵は極めて少ないからである。これも、やはり武者絵の国芳の自信作で、その自負がそのまま絵になって表れている。描かれた武者信玄は国芳自身である。自分が信玄になったつもりで絵を描いたのだ。
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