川中嶋大合戦
《クリックで拡大》 謙信の車懸りを見つけ勘助備を立て直す図 Next次を見る

一勇斎国芳 大判三枚続 刊年:天保十四年(1843)〜弘化四年(1847) 版元:佐野屋喜兵衛 絵師紹介

 早朝、狭霧の中から、キツツキの戦法を見破った謙信が今まさに車懸の陣で進んでくる。勘助がそれに応じ、陣形を立て直させようとする、その一瞬を描いた作品。この後、信玄と謙信、両雄が直接対決し、責任を感じた軍師勘助が討ち死に覚悟で敵陣に馳向かうクライマックスへと向かう。
 信玄を中心とした陣形、川を背にした画面構成、川原や流水表現の様式美など武者絵としては端正な中にも緊迫感と敵を迎え撃つ勢いの感じられ
る作品。まさに武者絵の国芳と言われた面目躍如である。
 画面中央で信玄と向かい合う初鹿源五郎(この合戦で討死)が背負うのは、むかで隊の旗。これは信玄が金掘衆の技能を生かし、トンネルを掘ったり、敵の井戸や掘の水抜きなどの特殊な任を与えて組織したものである。歴史の表舞台にはなかなか現れないこうした者達が、実は信玄の軍資金(甲州金)や城崩しなどに大きな力を発揮したのである。

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